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2017年 車いすフェンシング日本選手権大会②「息をのむ戦い」

2017.10.17

2017年 車いすフェンシング日本選手権大会 男子フルーレ、準決勝。
ここまで勝ち上がった安 直樹選手(カテゴリーA)、加納慎太郎選手(カテゴリーA)、藤田道宣(カテゴリーB)選手、恩田竜二(カテゴリーB)選手と4選手が出揃った。
カテゴリーは違えど、実力を兼ね備えた個性溢れる選手たち。
この後の試合がどうなるのかといった、緊張感が高まる会場である。

カテゴリーA同士の戦いとなる注目のカード、安 直樹選手と加納慎太郎選手の対戦。
会場の正面、舞台上に設置されたピストに観客の視線が集まってくる。
実はこの試合、なかなか試合が始まらなかった。
車いすフェンシングはピストに車いすを固定し行うため、選手が代わるごとに選手ごとの車いすに合わせた調整が必要となる。
調整にも多くのスタッフが携わらなければいけない。
ここまでの試合でもある程度の時間はかかっていたが、セッティングが終わってからも、この試合前の待ち時間はこれまでの時間より長くなっていた。
準決勝でもあり、審判団の準備などもあったのだろうか。
早い時間から、舞台上、車いす競技車に腰を降ろし準備をしていた加納選手ははじめストレッチなどを行っていた。しかし、さすがに長い待ち時間に気持ちを集中させるためか、イヤホンをつけ、体をほぐしイメージトレーニングをし、試合に備えているようだった。

同じカテゴリー同士であり、昨年の1位(安選手)、2位(加納選手)の試合には、「実質の決勝戦ではないか」という声も聞こえた。
やっと、選手そして審判団が紹介される。
2020年に向け、車いすフェンシングを引っ張っていくには欠かせない、そしてライバル同士の選手といって良いだろう。
試合前には笑顔で会話をし合う安選手と加納選手であるが、剣の反応のチェック、距離の計測が始まると、徐々に眼差しが変わり始める。
試合開始。
これまで以上にライバル選手同士の気迫を強く感じる試合となった。
プッシュのたびに、どちらがポイントを取れたかどうかをアピールする声。
甘いマスクの加納選手からも、それまでの試合ではあまり発することのなかった、自分が先にポイントを取ったことをアピールする気迫溢れる声。
安選手の体全体を使ったアピール。
ライバル同士がほんの数秒ごとに叫ぶこの試合展開に、観客そして試合の終わった他の選手達が視線を移し、息をのむ。
さすがに第一線の選手同士の戦いである。簡単にはポイントは奪えない。

剣をかわしながら、相手の隙がどこにあるのかをマスク越しに狙い定める。
マスクの奥の表情はどのような顔なのだろうか。
どちらも譲らない戦いは、息をするのもためらうような中で続いた。
長い試合時間の中、安選手は合間にタイムを申請したり、加納選手も剣の調整や確認、取り替えるなどをしながら、相手のペースにのまれないよう調整しながら試合を運んでいたように感じた。

安選手と加納選手の試合は延長にもつれ込んだが、15-6で安選手が勝利し決勝に進んだ。