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次世代強化へ再発進!「2021神戸女子車いすバスケットボール大会」

2021.12.02

SCRATCH 碓井琴音(中央)

2021年11月27日(土)、28日(日)、兵庫県のグリーンアリーナ神戸で「2021神戸女子車いすバスケットボール大会」が開催された。
今大会は「皇后杯 第31回日本女子車いすバスケットボール選手権大会」(以下、皇后杯)の中止に伴い、代替え大会として開催された。車いすバスケットボールの女子チームは男子チームに比べ、全国的に数があまり多くない。新型コロナウイルスの影響で、昨年より地域をまたいでの活動が制限されてきたことから、チームでの活動が難しい状況であった。その為、今大会では個人参加を募り、エントリーのあった選手を3チームに振り分け、2日間の総当たり戦で試合が行われた。また、2日目には東京パラリンピック出場選手を中心とした紅白戦が行われた。

日本代表でも活躍した添田智恵

大会の出場チームは、ビブスのカラーに合わせた、「ピーチズ」、「メロンズ」、「レモンズ」の3チーム。これまで皇后杯に出場経験のない選手や健常者も複数参加した。通常、コートの出場選手は持ち点14ポイント以内で編成されるが、今大会は選手の参加状況に合わせて、17ポイント以内で設定された。
3チームの中で最もチーム力を発揮したのは、黄色のビブスを着用したレモンズ。レモンズは日本代表として長く活躍した添田智恵が選手兼コーチとしてチームを指揮。ハイポインターとローポインターの絶妙なメンバー構成、パスワークを使った多彩な攻撃で他のチームを圧倒。1日目、2日目と他のチームを寄せ付けず、全勝で大会を終えた。中盤のポジションで冷静にチームをコントロールしてきた添田の頭脳的スタイルが、チーム作りにも生かされていた。

メロンズの中心メンバーとして出場した清水千浪は、東京大会で初のパラリンピック出場を果たした。今大会ではフリーショットの精度が高く、パラリンピック後も着実に力を伸ばしている。日本代表の中堅に位置しており、今後も代表での活躍が期待される。

東京パラリンピック日本代表の清水千浪

2日目に行われた紅白戦では、東京パラリンピック出場選手を主体としたTeam Blackと、今後活躍が期待されるフレッシュなメンバーで構成されたTeam Whiteが対戦。Team Blackは、九州ドルフィンの江口侑里の高さを生かした攻撃など、チーム全体の動きが良く、67-41でTeam Whiteに勝利した。
大会では、選手の笑顔が多く見られ、久しぶりの試合をとても楽しんでいるように感じた。
また、若手選手を経験豊富な選手がプレーや声援でサポートするなど、コミュニケーションを積極的に取る場面が多く見られた。

九州ドルフィン 江口侑里(中央・黒)

女子車いすバスケットボールの国内最高峰の大会である皇后杯は、関西を拠点とする「カクテル」が大会6連覇中と長く女王の座に君臨している。今年10月には、カクテルを率いた岩野博氏が、女子日本代表のヘッドコーチとして就任することが決まった。東京パラリンピック日本代表5人を要するカクテルが、更に力を伸ばしていくことも予想されるが、今大会に出場した新たな選手や若手選手を見ると、SCRATCHや九州ドルフィンといった他のチームも、カクテルに対抗できる力を十分に持っているよう感じる。
車いすバスケットボール女子日本代表は、開催国枠で出場した東京パラリンピックを除くと、2大会連続でパラリンピック出場を逃している。世界と戦えるチーム作りを行うには、女子選手全体のレベルの底上げ、選手人口の増加が、パリパラリンピックに向けての急務な課題と言える。女子車いすバスケットボールを盛り上げる為にも、国内大会の再開が待ち遠しい。

■日本車いすバスケットボール連盟

東京パラリンピック日本代表 土田真由美