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限界は超えられる「第5回パラ・パワーリフティング チャレンジカップ京都」

2022.04.19

日本記録を更新した67kg級1位龍川崇子

2022年4月17日(日)に、京都府のサン・アビリティーズ城陽で「第5回パラ・パワーリフティング チャレンジカップ京都」が開催された。今大会は、男子9階級と女子7階級に34人の選手が出場した。

女子67kg級は、森崎可林、龍川崇子、田中秩加香の3名の争い。森崎は、パラ・パワーリフティング連盟の吉田強化委員長に「期待の星」と言わせる程有望な若手で、この日もその実力を存分に発揮する。第2試技では、日本記録を上回る69kgを成功させ、会場を熱くした。龍川は、前日に検量オーバーとなり、主戦場である61kg級から67kgに階級が変更となった。階級が上がり不利な条件と思われた龍川だったが、第2試技で森崎を上回る70kgを成功させ、すぐに日本記録を更新。森崎も負けじとばかりに最終試技で70kgに挑むが、力及ばず失敗に終わった。龍川は、最終試技で更に記録更新を狙い72kgに挑戦すると、力強いリフトで最終試技も成功させ、67kg級1位となった。2位となった森崎は、試合後のインタビューで、「試合運びとしては良かったと思います。競っていく、勝負をしていくことができて良かったです。正直、銀色のメダルは悔しい気持ちでいっぱいです。69kg(自己ベスト)の記録を少しのスパンで更新できたことは胸を張って言えると思います。できたことをほめつつ、できていないことを反省していきたいと思います。」と冷静に大会を振り返った。

         67kg級2位 森崎可林

男子は、59kg級に東京パラリンピックに出場した光瀬智洋が出場。昨年の11月に日本記録を更新し、好調を維持している。この日も、第2試技で自身の日本記録を1kg上回る147kgを成功させると、最終試技はプラス3kgの150kgに挑戦。両腕を横に広げ、前で大きく手をたたくルーティンで集中力を高めていくと、好調の勢いそのままに150kgも成功させた。光瀬は、今後の目標について、「アジア・オセアニア選手権は155kg以上で、アジアパラゲームスは記録を飛躍させられるように。パリパラリンピックに選考されるまでに175kg、パリパラリンピックでは日本初のメダリストになるために190kgを目指して頑張りたいと思います。」と力強く語った。

    59kg級1位光瀬智洋は日本記録を4kg更新

パラ・パワーリフティングは、他競技からの転向や、他競技と並行して取り組んでいる選手が複数いる。今大会の女子49kg級に出場し、1位となった中村嘉代もその一人だ。パラ陸上短距離の選手として国際大会にも出場している。中村は、パラ・パワーリフティングに取り組み始めたことについて、「新しいことにチャレンジする、パワーリフティングを知ることを目的として始めました。」と、控えめなコメントではあったが、初めての大会でありながら最終結果58kgと、この階級の日本タイ記録を出した。中村はパラ陸上がメインであることを強調しつつ、「1番になることはすごく嬉しいこと。次は日本記録を目指していきたい。」と今後の意欲を語った。中村以外にも、50kg級には、車いすテニスでパラリンピックに出場経験のある堂森佳南子が出場するなど、パラ・パワーリフティングは、第2のスポーツとして選択されている。

パラ・パワーリフティングは、今年6月に韓国で「アジア・オセアニア選手権」、10月には、中国で「アジアパラゲームス」の開催が予定されている。

         49kg級1位 中村嘉代

■大会結果 ※各階級優勝者
(男子)
49kg級 三浦 浩  127kg
54kg級 藤平 拓弥  121kg
59kg級 光瀬 智洋  150kg(日本新)
65kg級 佐野 義貴  141kg
72kg級 樋口 健太郎 170kg
80kg級 大堂 秀樹  166kg
88kg級 田中 翔伍  171kg
97kg級 山下 貴久雄 130kg
107kg級 佐藤 和人  175kg

(女子)
41kg級 中村 嘉代  58kg
45kg級 成毛 美和  58kg
50kg級 堂森 佳南子  53kg
55kg級 山本 恵理  62kg
61kg級 桐生 寛子  62kg
67kg級 龍川 崇子  72kg(日本新)
73kg級 水江 加奈子  62kg

大会公式ホームページ

     80kg級1位 ベテランとなった大堂秀樹