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「パラトライアスロン期待の新星」第2回びわ湖トライアスロンin近江八幡

2016.07.04

小雨がパラつく6月18日滋賀県の琵琶湖湖畔にて、びわ湖トライアスロンin近江八幡が開催された。
本大会はジュニアとエイジ(一般)、パラ、リレーと別れている。
今回、パラの部には宇田秀生選手、岸智子選手、中村大成選手の3名が参加をした。
宇田選手はITUパラトライアスロン世界選手権2位の実力を持つ。

宇田選手は2013年に事故により右腕を失った。その後、2015年からトライアスロン競技を開始。
わずか1年程度のキャリアにも関わらず、世界選手権2位という驚異のポテンシャルを持つ。
通常のパラトライアスロンはスプリントディスタンスといわれる距離(スイム0.75km、バイク20.0km、ラン5.0km)で競われることが多いのだが、この大会はオリンピックディスタンスという距離(スイム1.5 km、バイク40.0km、ラン10.0km)で競われる。

つまり、他のレースとは体力温存の仕方が違うのだ。しかも当日は小雨がぱらつく。
そんな状況下で宇田選手は昨年の記録、2時間30分10秒から、2時間16分38秒と大幅に更新した。

宇田選手にインタビューを行ったところ、反省としてスプリントディスタンスのレースと、オリンピックディスタンスのレースで、身体の使い分けに少し苦戦をしたとのことだった。
我々にはオリンピックディスタンスを難なくこなしているという印象であったが、本人としてはスプリントディスタンスのペースでレースを進めたことで、後半が少しペースダウンしたという印象のようだ。まだトライアスロンのキャリアが少ない中でのレースであったことも、影響しているのではないだろうか。
また右腕を欠損しているにも関わらず、スイムをこなし、バイクを軽快に飛ばす宇田選手に、バイクについて詳しく話を聞いた。
(記者もロードバイクに乗ることもあり、興味があったというのもあるのだが。)

一般的なロードバイクのギアチェンジは、ブレーキレバーを内側に押し込むような形でギアチェンジをしていく。左レバーで前の2枚のギアをかえ、右レバーで後ろのギアをかえる。
またブレーキは当然左右にあり、左手で後輪、右手で前輪のブレーキをかけることが基本だる。では宇田選手はどのようにしているのか?

ギアチェンジについては電動で行えるように改造されている。
一般のロードバイクでも電動になっていることがあるのだが、宇田選手のバイクはブレーキについても片手の操作で前後輪のブレーキがかかるよう改造が施されている。
改造されているとはいえ、片手でバランスをとり、坂を上り、坂を下り、急カーブを曲がる。これを簡単にこなしてしまうこの選手のポテンシャルは計り知れない。

リオパラリンピックについては、PT3クラス(四肢欠損など、中度の障がいを持つ選手の部門)がないが、これからが大いに期待される選手だ。

大会公式ホームページ
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