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「高める力、繋ぐ力」ウィルチェアーラグビー 岩倉瞳さん

2015.09.13

岩倉さんはウィルチェアーラグビーナショナルチームのトレーナーとして2013年から活動している。ウィルチェアーラグビーだけでなく、サッカーやラグビーなど様々なスポーツにも関わっているアスレティックトレーナーだ。
ウィルチェアーラグビーは、頚髄損傷など重度四肢障がいの人を対象とした車いすに乗って行う競技だ。パラリンピックの正式競技で、2012年のロンドンパラリンピックで日本代表は4位の成績を残している。
激しいコンタクトが認められているウィルチェアーラグビーの競技用車いすは、衝撃に耐えられるようバンパーやフレームがしっかりとした作りになっており、ゴツゴツした形状をしている。
○ウィルチェアーラグビーにはまったきっかけ
「初めて見た時にめちゃめちゃかっこいいと思いました。でも車への乗り降りなど選手の生活面を見たときに障がいが重いことに気付きました。障がいの重い彼らがこんなにかっこいいプレーができるんだというギャップに更に惹かれました。
私はこの競技に出会った時から障がい者スポーツではなく、一つのスポーツとして見ています。
トレーナー活動を始めて7年目の2009年にウィルチェアーラグビーに出会いました。今まで対峙したことのない障がいがある人に対してどうストレッチングをすればいいのかわからず戸惑い衝撃を受けたことを、今でも忘れられません。初心を思い出しましたね。
選手たちの障がい程度は人それぞれなので、細かい部分まで指示をしないとその人にとってのトレーニングにはなりません。アスレティックトレーナーは、対応する人それぞれの特徴に応じて考え工夫をしなければならない仕事なのですが、ウィルチェアーラグビーの選手に対しては更に工夫をしなければいけません。当たり前が当たり前じゃないんです。
障がいのある選手に関わることで健常者へのトレーニングも昔よりも細かく考えるようになりました。」

○トレーナーとして
「ウィルチェアーラグビーのナショナルチームでは、理学療法士と鍼灸マッサージ師、アスレティックトレーナー合わせて6名がトレーナーチームとして活動をしています。それぞれのトレーナーがそれぞれの知識・技術など特性をいかし、なおかつ6名全員が自分の持っている最大限の力を発揮して選手たちをサポートできるよう、それぞれの良いところを出し合いトレーナーも良いチームを作ることを考えました。
トレーニング、動作分析、栄養などそれぞれの得意分野をいかして役割分担をすることで、個々のプロフェッショナルとしての意識も更に向上しています。」
○夢、目標
「今の自分の目標や夢は全てウィルチェアーラグビーに関係しています。来年の目標はリオデジャネイロパラリンピックでメダルをとること。その後は、2020年とその先もコンスタントに日本が世界の上位にいる状況を継続することです。漠然と頭に描いていたパラリンピックが現実に近づいてきた中で、私の役割は選手を支えるだけではないと感じるようになってきました。
日本代表というチームでトレーナーをまとめている立場にいるからには、任期が終わったから終わり、とチームを離れてしまうのではなく、経験をいかして段階的にトレーナーを成長させていく役割があると感じています。将来的に同じ志をもったトレーナー達が頑張っている姿を観客席から見てにやついていたいですね。」

○ウィルチェアーラグビーの良さをもっとたくさんの人に
「競技としてのウィルチェアーラグビーの良さはぶつかり合いの迫力と闘争心です。男女混合ですが、女性も男性に負けないくらい活躍をしています。若手選手であっても世界を目指すことは夢ではありません。
まだ競技人口が多いとは言えないので、もっともっとたくさんの人にこの競技を知ってもらい新しい選手を発掘していきたいと思っています。
プレー中の選手たちは障がいがあるようには見えません。ウィルチェアーラグビーというスポーツに人生をかけたアスリートとして輝いています。同じような障がいのある人が選手たちのプレーを見たり、選手たちの日常生活を知ることで、きっと「自分にも出来る」という希望や自信に繋がると思います。」

一般社団法人日本ウィルチェアーラグビー連盟