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次世代の選手たちが躍動「IIZUKA OPEN 2022」

2022.04.24

U-22強化指定選手の清水 克起

2022年4月21日~24日、福岡県飯塚市のいいづかスポーツ・リゾートで「IIZUKA OPEN 2022」が開催された。同会場では、これまで車いすテニスの国内最高峰の大会である「JAPAN OPEN」が開催されていたが、新型コロナウイルスの影響により、中止が続いていた。今年は、大会のグレードを下げ、規模を縮小し開催された。車いすテニスは、ここ数年国内大会の中止が相次いでいたことから、選手たちにとっては、現在のコンディションを確認することのできる貴重な大会となった。

新型コロナウイルス感染対策として、会場にはスクリーニングポイントが設置され、全ての入場者は、毎日スクリーニングポイントで健康チェックを行う。事前と当日に提出が定められている健康チェック表は、WEB上でも提出をすることができる。PCR検査の陰性証明又は3回目のワクチン接種券持参の条件で、観戦も可能であった。参加・観戦条件の明確化や非接触のシステム導入など、感染防止の対策がしっかりと整えられていた。

ダブルス準優勝 長櫓 圭永

初日はあいにくの雨天。試合は全て屋内コートで行われた。男子シングルスは、1回戦で第3シード齋田悟司と清水克起が対戦。清水は、ジュニア年代から車いすテニスで活躍しており、2022年度前期U-22強化指定選手に選ばれている。第1セットは、パラリンピック出場経験のある齋田が6-1と清水を圧倒。しかし、第2セットに入ると清水が粘りを見せる。清水は、「ファーストセットは硬さが出てしまった。セカンドセットはふっ切れて思いきってやろうと思った。」との言葉通り、ショットがコースに決まる場面が増え、齋田が首を傾げる姿も見られた。試合は、第2セットも6-4で齋田が制し、セットカウント2-0で齋田が2回戦に進んだ。清水は、ジュニアとシニアを比較し、「ジュニアの時はパワーだけでラリーが終わっていましたが、シニアは、組み立て、緩急、安定性のところで違いがあると感じています。自分は、パワーはある方かなと思いますが、もっと安定性を上げていかないとと思います。」と自身の課題を冷静に分析している。清水は、初戦敗退となったものの、コンソレーションで優勝と、気持ちをしっかりと切り替え、結果を残している。

第2シードの河野直史に初戦で挑んだのが、次世代育成強化指定選手で若手の長櫓圭永。第1セットは、長櫓のペースで試合が進む。長櫓は、スピードのあるショットで得点を積み重ね、ガッツポーズが何度も出る。第2セットに入り、河野が長櫓のペースになりやすい『打ち合い』を避けたことで、試合の流れが一気に変わる。第2セットを河野が6-4で取ると、最終セットは完全に河野ペースとなり、最終セット6-1のセットカウント2-1で、河野が勝利した。敗れた長櫓は、シングルスのコンソレーションで準優勝、ダブルスでも準優勝と、その後は意地を見せた。

シングルス・ダブルス準優勝 高室 侑舞

女子は、次世代育成強化指定選手の高室侑舞が初出場。高室もジュニア年代に車いすテニスを始め、シニアへと移行してきた若手選手の一人。4月に神戸で開催された「DUNLOP KOBE OPEN 2022」シングルスで優勝。今大会でも上位進出を狙う。シングルス決勝では、タイブレークが続く3時間の熱戦で、惜しくも佐々木千依に敗れたが、着実に結果を残しており、今後の期待が高まる。
今大会は他にも、男子シングルスで第1シードの藤本佳伸を、18歳の高野頌吾(U-22強化指定選手)が破るなど、若手の成長が窺える。

車いすテニスの国内大会は、8月に「仙台オープン」と「神奈川オープン」、9月に「大阪オープン」の開催が予定されている。

ダブルス準優勝 高野 頌吾

■大会結果 ※メイン優勝者
〇男子
シングルス 齋田 悟司
ダブルス  藤本 佳伸、川合 雄大

〇女子
シングルス 佐々木 千依
ダブルス  浅野 由佳理、岡 あずさ

〇クァード
シングルス 諸石 光照
ダブルス  諸石 光照、河野 将太

大会公式ホームページ

ダブルス優勝 川合 雄大