TOP競技レポート記事一覧 > 競技レポート詳細

8階級で日本新記録が誕生「第6回パラ・パワーリフティングチャレンジカップ京都」

2023.05.09

女子73kg級優勝の田中秩加香

2023年4月29日~30日、京都府のサン・アビリティーズ城陽で、「第6回パラ・パワーリフティングチャレンジカップ京都」が開催された。

今大会は、男子9階級、女子7階級、IBSA(視覚障害部門)3階級が実施され、8つの階級で日本新記録が誕生した。日本記録を更新した選手の中で最も勢いのある選手が、女子73kg級の田中秩加香。田中は、昨年4月に開催された同大会が初の公式戦。この時田中は67kg級に出場し、記録は60kgであった。同年9月の記録会では階級を73kg級に上げ、自己記録を一気に73kgまで伸ばす。更に、今年1月に開催された全日本選手権では、自己記録を日本新となる80kgにまで伸ばし、公式戦デビューから一年弱で自己記録プラス20kgと、驚異的な伸びを見せている。
今大会、田中は第1試技で、いきなり日本新を上回る82kgに挑戦。田中は下肢障害だけでなく、視覚にも障害がある。第1試技は、バーを胸に下ろした時にバーが動いてしまい、失敗となった。第2試技も82kgに挑戦をするが、今度はバーが胸に沈んでしまい失敗。しかし田中は、第3試技で1kg加えた83kgに挑戦する。会場が緊張感に包まれる中、田中は力強いリフトで第3試技を成功させ、見事に日本記録を更新した。

Q.今大会の目標は
田中:85kgを成功させたかったです。練習では83kgで2、3回挙げられる状態で、最後の練習では85kgを上げることができていました。
Q.試技を振り返って
田中:感覚として、重量としては挙げられると思っていました。試技の精度が緊張に左右されるなと思いました。
Q.今年の目標は
田中:2023年の目標は、世界選手権の代表に選ばれて、大会での自己記録更新を目標としています。85kgは絶対で、余力があれば87kgを目指していきたいと思います。

女子は田中以外にも、41kg級の成毛美和、55kg級中村光、61kg級桐生寛子の3選手が日本記録を更新した。
男子88kgに出場した大塚博幸は、選手としての活動だけでなく、地元兵庫県で普及活動にも力を入れている。
Q.普及活動について
大塚:活動地域は兵庫県全域で、兵庫県パラ・パワーリフティング連盟をという団体作って活動しています。練習会を毎週行っており、年に一度「兵庫県パラ・パワーリフティング選手権大会」を開催しています。県内の選手数は多いと思います。兵庫県障害者スポーツ協会にも応援いただいていて、全日本選手権への参加費用の補助や、団体として県のスポーツ優秀選手賞の表彰の推薦もしています。
Q.身体障害以外の参加状況は
大塚:視覚障害、脳性麻痺、知的障害の方も参加しています。「兵庫県パラ・パワーリフティング選手権大会」にチャレンジ部門を設けていて、ルールを簡素化する形で、その選手にあったオリジナルルールを採用しています。

今年度の「兵庫県パラ・パワーリフティング選手権大会」は、10月28日(土)の開催を予定している。
兵庫県パラ・パワーリフティング連盟ホームページ

   女子61kg級で日本記録を更新した桐生寛子

今年8月には、2024パリパラリンピックのパスウェイ大会となる世界選手権がUAEで開催される。田中秩加香を含む、日本代表選手22名がこの大会に出場する。

■各階級優勝者
(男子)
49kg級 西崎 哲男 133kg
54 kg級 市川 満典 158kg(日本新)
59 kg級 光瀬 智洋 155kg(日本新)
65 kg級 宇城 元 146kg
72 kg級 樋口 健太郎 178kg(日本新)
80kg級 大堂 秀樹 175kg
88kg級 田中 翔悟 180kg
97kg級 佐藤 芳隆 170kg(日本新)
107kg級 佐藤 和人 165kg

(女子)
41kg級 成毛 美和 63kg(日本新)
50kg級 堂森 佳南子 58kg
55kg級 中村 光 68kg(日本新)
61kg級 桐生 寛子 72kg(日本新)
67kg級 龍川 崇子 75kg
73kg級 田中 秩加香 83kg(日本新)
79kg級 坂元 智香 77kg

(IBSA)
女子67.5Kg級 瀬川 真澄 60kg
男子75kg級 瀧本 辰喜 40kg

88kg級の大塚博幸は地元兵庫県で普及活動も行っている

男子80kgの大堂秀樹は昨年の自己記録を9kg上回る175kgで優勝