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世界を狙う・世界と戦う選手たちが集結「第34回日本パラ陸上競技選手権大会」

2023.05.11

100mT64クラス優勝の井谷俊介

2023年4月29日~30日、兵庫県のユニバー記念競技場で、「第34回日本パラ陸上競技選手権大会」が開催された。この大会は、今年7月8日~17日にフランスで開催される「パリ2023世界パラ陸上競技選手権大会」の選考大会になっており、「神戸2024年世界パラ陸上競技選手権大会」のテスト大会も兼ねている。大会には、2024年パリパラリンピック出場が期待される選手たちが多数出場した。

T64クラスの井谷俊介は、4月中旬の愛知パラフェスティバルで100m 11.29の日本記録を樹立。この日も井谷は好調で、ライバルたちを寄せ付けず、11.51の大会新記録で優勝した。

マラソンでもトップ選手の鈴木朋樹は、大会1日目の1500mに出場。スタートから終始トップを走り続け、3:05.83のタイムで優勝。2位の岸澤宏樹も終盤まで鈴木を追い続けたが最後は引き離される形となった。
鈴木「できる範囲内ではベストなコンディションだと思う。体のフィーリングも良く、レース感としては、3番手から間が空いていたので、自分のペースで走ってからラストラップに持ち込もうとしていた。結果としては満足している。」

1500mT54クラス優勝の鈴木朋樹と追走する唐澤宏樹

T13クラスの福永凌太は、走幅跳と400mに出場。走幅跳では大会記録を更新し、400mでは48.34のタイムでアジア新記録を樹立。400mについて福永は「4月頭の大会で8秒前半は出るなと確信していた。今までは400mをまとめて走るというレースになっていたが、100、200のスピードがついてきて、200mをしっかり走ってそこからもう一回200を走るようなイメージで、前半からしっかりスピードを出すというレース展開にした。スピードがついたというよりは、楽に体を進ませる技術がついた。」とレースを振り返った。7月の世界パラ選手権大会については「400mは絶対出ようと思っている。出るからにはメダルを取ることを狙っている。そこしか考えていない。絶対できると思っている。現実的に1位は難しいかもしれないが、来年のパラリンピックでは世界記録を出したいと思っている。」と力強く語った。


T47クラスの辻沙絵は、400mの日本記録保持者。この日のレースでは59.09のタイムで優勝した。400mのレースを振り返り辻は「昨シーズンの反省で、前半ピッチで行き過ぎない、大きいストライドで、力を使い過ぎず、でもスピードを意識するという課題はクリアできたのではないかと思う。前半向かい風だったのでそこで力を使いすぎたという反省はある。」
世界パラ選手権大会に向けて辻は「前半のスピードの入りの部分、パワーの使い方も含めて力み過ぎずにリラックスした状態でスピードを上げていくことを強化したい。57秒台、58秒台を狙っていきたい。」と意気込みを語った。


パラ陸上は、今年6月11日(土)~12日(日)に、岐阜県の長良川競技場で「2023ジャパンパラ陸上競技大会」が開催される予定となっている。

400mでアジア記録を樹立した福永凌太は走幅跳でも好記録を出した

■アジア新記録・日本新記録一覧
○走幅飛
T13 福永凌太 6m90
T12 石山大輝 7m07
T61 湯口英理菜 3m88 ※アジア新
○1500m
T47 小釜莉代 6:19.60
○100m
T62 福田陽彩 17.76
T13 川上秀太 10.98 ※アジア新
○200m
T13 川上秀太 22.22
T32 仲元ゆかり 1:18.93
T34 北浦春香 35.07 ※アジア新
T54 中村嘉代 31.03
○400m
T13 福永凌太 48.34 ※アジア新
T47 鈴木雄大 50.23
T34 小野寺萌恵 1:07.10
○800m
T34 小野寺萌恵 2:19.80
○円盤投
F42 鈴木貴之 21m40
F43 江川勉  23m08
F49 千葉竜也 20m79
○こん棒投
F32 井上流生 18m09
○やり投
F12 若生裕太 60m03

400mT46クラス優勝の辻沙絵は200mでも大会記録を更新