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大会を盛り上げた、開催地愛媛のアスリートたち「2023中国・四国パラ陸上競技大会」

2023.09.13

T11クラス矢野繁樹選手とガイドの瀧本啓太さん

2023年9月10日(日)、愛媛県のニンジニアスタジアムで、「2023中国・四国パラ陸上競技大会」が、コロナ禍を経て4年ぶりに開催された。
今大会には、今年10月に中国で開催される「杭州2022アジアパラ競技大会」(以下、アジアパラ大会)に日本代表選手として出場する選手たちが多数出場。
愛媛県松山市出身で、アジアパラ大会日本代表のT12クラス(視覚障害)石山大輝は、走幅跳と100mに出場。100mでは11.39と日本記録に迫る好記録を出した。石山は、アジアパラ大会に向けて「ここからもう一回気合を入れて、アジアパラ大会で良いパフォーマンスができればと思う。」と力強く語った。また、石山は地元愛媛県からの声援について「地元の新聞やテレビ局が大会の度に応援をしてくれてすごく嬉しい。愛媛の方もSNSで『頑張って』とメッセージを下さる。力になっています。」と感謝を伝えた。


今大会100m・200mに出場した愛媛SS所属T11クラス(視覚障害) 矢野繁樹選手は、過去3度のパラリンピックに出場したパラリンピアン。矢野選手とガイドの瀧本啓太さんは、ペアを組んで今年で7年目となる。瀧本さんの「自然体で、基本的な走りは変わらず、普段通り走るようにしている。」という言葉通り、この日も2人は息の合った走りを見せた。矢野選手と瀧本さんは、競技者としての活動だけでなく、パラ陸上の普及のため、各地で講演会も行っている。実は、石山大輝選手をパラ陸上に導いたのがこの2人。今大会、男子100m視覚障害のクラスでは、矢野選手と石山選手、地元松山盲学校の石丸翔選手の3名が熱いレースを繰り広げ、会場を盛り上げた。
矢野選手はレース後、「100mは13:45で狙っていたタイムを切ることができ、収穫があった。中国・四国パラのような大きな大会が愛媛でも開かれ始めているので、今後も大会に出てメダルを狙いたい。」と、今後の意欲を語った。

走幅跳と100mに出場したT12クラス石山大輝

女子200mでは、「2023世界パラ陸上パリ大会」日本代表の、T54クラス村岡桃佳が29.72のタイムで日本記録を更新。男子F32こん棒投、男子T49 800mの2種目でも日本記録が誕生した。

女子200mT54クラスで日本記録を更新した村岡桃佳

■普及が始まったばかりの「フレームランニング」

大会の合間には、「フレームランニング体験会」が行われた。フレームランニングは、脳性麻痺等により、自身でランニングができない人でも三輪タイプの「フレームランナー」を使用し、ランニングをする種目。今年6月にフランスで開催された「世界パラ陸上パリ大会」でも公式種目として実施され、今後、パラリンピック正式種目で採用されることが期待されている。
「フレームランニング体験会」に参加した高知県の野々下裕大さんは、50mのタイムトライアルに挑戦。「今日は目標の30秒を達成しました。次は25秒以内にゴールしたい。」と、笑顔を見せた。

フレームランナーで50mタイムトライアルに挑む野々下裕大さん

パラ陸上日本代表選手も出場する「杭州2022アジアパラ競技大会」は、10月22日(日)~10月28日(土)の日程で、中国・杭州で開催される。

杭州2022アジアパラ競技大会について(日本パラリンピック委員会のホームページ)

杭州2022アジアパラ競技大会日本代表T34クラス北浦春香